扉/
ミナト 螢
挟んだ栞を抜いた時に
鍵を回すような
音を立てて物語が始まる
決まった台詞じゃ
足りないくらい
人の心は本よりも厚く
だからこそ読み続けていられる
僕等は借りてきたように
生きる言葉を後ろのページに
座らせながら向こう側へ行き
相応しい顔でそれを伝えたい
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