長い自殺みたいな正義に囚われたやつらの顔を見てみなよ?/ホロウ・シカエルボク
 
二七度目のクラクションのあとの殺人事件、三十代のサラリーマンは運転席で生涯の幕を閉じられた、みぞれ交じりの雨が降る二十二時のことだった、アスファルトに流れた血液は真っ先に車道脇の排水口へと姿を消した、犯人は現場から二キロの山中でこめかみにナイフを突き立てて絶命しているのを発見された、その日の午後早く勤めていた職場で首を切られたばかりだったということだった、もしかしたらそのときからそんな結末を考えていたのかもしれないな、駄々をこねることに慣れたやつらは一生そんなふうに生きるものだ、国道のふたつの死体、いいかい、君たちは今頃身に染みて分かっているだろうけど、人生とは決して上手くいかないものだ、一見順調
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