遥か/
ミナト 螢
始まりのような終わりを迎えに
五線譜をはみ出してどこへ行くの
音程の取れない歌みたいな
急ぎ足で試された運命に
本当は抗う力を信じてる
嘘のまま優しく傷つけても
遠くへ行けば小さくなるから
そのまま忘れてしまえるのかな
消しゴムが文字を消したら
余白に筆跡が残るくらい
柔らかな愛を教えてくれた
あの人が泣けば良かったのに
誰にも触れずに流す涙は
私の指であやとりをするだけ
生温い風が旅立ちを乗せて
爪の間に挟んだ笑顔は
丸くなって記憶の中で眠る
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