メビウスの恋/ミナト 螢
 
唇が変形していくように
愛する人と折り紙をしたい
捻れた輪の中で掴む手首は
時計の針と反対に動いて
僕等は迷いを振り切って来た
恋に未来を背負わせるくらい
愚かに汚れた灰を被っても
一緒に歳を重ねた証を
指紋に残せば身体が分かる
触れたかったものは
柔らかい温度を高く上げて
宙返りをして浮かんだまま
幸せをずっと感じるために
音楽はまだ滑り出したばかり
リピートしかできないCDが
僕等を包んで転がっていく
そこには余計な物語はなく
ただこの瞬間を生き続けるだけだ
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