甘いバターと春、或いは/みい
今日もひとりでいたわたしが死んでゆく
春になろうとしていることを目で捉え
そして触ろうとしたあなたの髪を
さらり、簡単すぎるほど軽くすり抜ける
ねえ、どうしてこんなにたったわたしのひとつの命が
こんなにも重たくてつらく鮮やかなのですか
あなたの指はいつも絡まったピアノを解くような
優しい温度をしていて
苦しみとか
痛みとか
なんでもなかったかのように笑うの
もう、よして
キスだとか抱擁の
リズムがあるものは全部壊してしまいたい
絶対に必要なのに要らないと思ったの
コップの中の指輪はきっと
サイダーに溺れて言葉も出ない
泡が
ただのぼる
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)