ウミホタル/ふじりゅう
冷たい手で溺れさせられて
海ほたるの震えが皮膚を傷つけて
何千の光が生み出す凪を
陸地から眺めるカップル
浮き輪を放り投げられて
君の横顔の汚れに気付いた
足音しか聴こえない夢の最中で
誰の悲しい目も見なくていいと思っていた
藻だらけの髪の毛を払って
君はいつでも弱虫だなぁ
だから今度はいのちのいない場所で
夢を見続けることにするよ
海ほたるはあらゆる面の
どこにいても必ず発光するけれど
君の汚れには全くいない、たぶん
鉄道を見ても赤ん坊のように
喜ぶ引き出しが開かない
弱虫の君、それではごめんね
君には好奇心しか残ってないから
焼き魚と目を合わせなくなったから
石を思い切り投げれば
なかまが震えて美しい光を出した
りんごのような頬で小細工を抜き出す
それは君への最期の配慮だった
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