汚れた鏡/
ミナト 螢
泣き顔を映すものじゃないと
そう願っていたのに
胸が熱くなるだけで
崩れた輪郭に涙は
白い鱗を広げて
飛べるフリをした
呼吸も足りなかった癖に
頑張る姿を見せるのはいつも
ひとりでいる時だったから
褒められることに慣れていなくて
鏡がいつか退屈になったら
僕がステンレスの心を磨く
光の差し込む部屋は眠るだけ
空回りしたり遠回りしても
水に浮いた花のような孤独は
少し曇った場所で探したい
戻る
編
削
Point
(1)