雪解けの音が聞こえる/ミナト 螢
 
雪が降り積もりそっと握った
白いマイクと丈夫な本音で
チューリップの唇が裂けたから
もう一緒に春を待つことはない
垢抜けた色の口紅を捨てて
サンドイッチの具を少なくする
誰かのためにと動いた日々が
だらしない方角を目指していく
さよならは氷柱のように刺して
次の光をさえぎる辞書みたい
まだ新しい言葉を探せずに
それでも何故だか心が揺れる
過去と未来のページの間は
足跡が崩れるくらい離れて
時計の針だけが追い駆けたまま
雪道へ投げる涙のような
沈む重さが地面に顔を出す
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