ひとりでうみにいった/dendrocacalia
 
赤い旗が、どこまでも続く
砂浜
あの子の汁が香る
粘膜の一つ一つにしみこんだ
また
雫になって髪を固めた

浅瀬に取り残された
あなたのお父さんは
砂まみれのなまこと現金で
じっとりこちらを見つめている

でもどれが本当のお父さんの名前か思い出せはしない
…義母たちの墓はどこだ!

あの子の汁が湧き出る
足の指の間から
十字架に埋め込まれて

赤い砂浜に
はためくは落胆
波打つは本能

まったくの白々しい朝に
君はまるで犬。

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