西陽/
たもつ
薄色の電車
駅に着くたびに
肋骨を触って
遊んだ
指先に水滴が集まって
見ていると
きれいだった
お父さんが、いい、
と言ったから
遊び続けた
手やその先が
優しい人だった
お父さんを押すと
車窓からの西陽に
少し動いて
戻ってくる
電車に似た薄色の駅
お父さんは
一人降りた
捨てられた、とか
忘れられた、とか
ではなく
置いていってくれた
そう思う
何もかもが
あの頃は
すべてだった
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