旅の震源?/非在の虹
 

「おまえを捜す旅だった」
と、傍らのこま鳥が囀る。
血、小鳥の血が微かにささやいたのだった。
何処へ行く、何処へ行くのだ。
旅という言葉に旅の終わりという静謐が隠れ、
旅の始まりという排泄が震える。
唐土も南蛮も喉の奥へ落ち込んだ今、
火を焚いて、火の色を見て占う。
結末という甘皮に覆われた香油に包まれながら、
行き先について、
行く先に待つ殺人者について
旅する者が殺される瞬間について
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