改札口/たもつ
 
改札口から人が出てくる
そんなこと言って
出てくるのが人である
時々そんなことがる
自分の部屋が改札口に直結している人は便利な反面
人の出入が多くて大変だし、退屈もするし
僕はそんな時
一日中、自動改札機を触って過ごす
そうしていると心の底から
自動改札機を触っていると思えてくる

上司はそういうところが気に入らないようで
注意事項が改札前の掲示板に掲示される
何が書いてあるか良く読むと
実は白紙で何も書いていないから
本当は上司なんて存在していないのかもしれない
なんて思っていると
改札口から出てくる上司がいる
自動改札機を触っているのを見ても
注意事項は掲示されないから
違う種類の上司かもしれない

上司が僕の布団を踏みならして行く光景を見るたびに
僕の部屋は改札口に直結していなくて良かった
と、安堵する
続いて僕が改札を出ると
守ってあげられなかった人が笑っている
一番良い笑顔で手を振っている
もういいよ、と言って欲しかった
言って欲しかったことは
何一つ言ってあげられなかったのに


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