Egg-Lab-Mates/AB(なかほど)
 
夜な夜な扇子を振っていた
チブラさんは、今では黒門市場通りを疾走し
ている。とガロイさんが話してくれた。

そんなにくるくる回ってると溶けちゃうよ
って

大丈夫だよ
あたしゃバターにはなりませんよ
って



3

遺伝子マップを左手に、ぼくの好きな笑顔を
見せていたチブラさんの右手に、今、全遺伝
子配列図が握られている。笑顔を捨ててそれ
に埋もれていくのか、それともくしゃくしゃ
にして泣いてしまうのかを、今、僕は見てい
る。彼女から目を離しちゃいけないよ、と言
っていたガロイさん。今、僕が見ているよ。



4

行きそびれた 五時
帰り
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