夜を歩く/立見春香
わだかまりが
嫌で
夜を歩くのです
わかってもらえない
プライドを捨てて
夜を歩くのです
すべてを終わらせるために
生きてきたわけではない
夜を歩いて
たどり着いたコンビニで
お弁当を買って帰るのです
すべてを終わらせるためには
死ねばいいのかしら?
そのお弁当の
鮭のしょっぱさに
むかしの母さんのことを思い出した
あの人が死んでも
すべては終わらなかった
なら、
私が死んでも
世界はなにひとつ変わらないのだろう
そんな淫猥で紫な空の下
別に死にたいわけではなく
ただただただただただ、夜を歩くのです
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