雨と雪のストーリー/あおいみつる
 
しろい朝が明けた

雨粒は身をくねらせ少し困りながら
わたしにアイサインを送った

気がつくと雨粒は雪にかわっていた

てのひらに舞い降りる華 花 はな 雪の花

象形文字のような氷の微粒子に目を細める
それは謎のまた謎の神秘

傘や街灯に白い妖精が舞い降りては消えてゆく
儚くも美しい純白のゆらめき

ふるえる
一瞬のアートに心奪われて堕ちてゆく

まるで
この世の汚れを純化するかのように

静かに雪はふりしきり
いかにも満足そうな笑みを浮かべる

やがて身をゆらして少し悲しげに
わたしにアイサインを送った

そして
後ろ向きのまま手を振り
未練を残しつつも雨粒にかわった



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