そういうわけで俺は今夜も禍々しい陽炎と対峙している/ホロウ・シカエルボク
れは、少し転がしてみたら小さな穴が開いているかもしれない、他の場所には何かが刺さっているかもしれない―そのすべてを見ることなく球体だと思って済ませてしまったら、お前はもう二度とそれについて知ることはない、納得のいく形で認識されたものを、初めて知識と呼ぶべきだ、だってそうだろう、そういうものじゃなければ、人間はきちんと成長することを忘れてしまう…見てくれを気にしてばかりいる連中を見れば少しはそのことが理解出来るはずさ、とっちらかった部屋は魅力的だ、探せばなにかしら見つけることが出来る、もちろんこちらに、探す意思があればということだけどね…そういうわけで俺は禍々しい陽炎と対峙している、ハロー、と俺は呼びかける、向こうが俺をこうして気にかけてくれるというのなら、細胞が稼働している限り全力で答えるのみさ。
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