アンダーカヴァー・オブザナイト/ホロウ・シカエルボク
 

分厚い硝子瓶の表面には精巧な細工が施されていた、じっと眺めているとそのうちに、想像上の神殿の回廊にでも迷い込んだかのような気分になりそうな気がした、おそらくは花瓶だったのだろうそれは、なにをいけられることもなく一枚板のカウンターの上で静かに天井照明を分解してばら撒いて遊んでいた、ローリングストーンズはウィラブユーと口ずさんでいて、アルコールは脳味噌をほんの少しリラックスさせただけに過ぎなかった、誰かが吹かしたマルボロの煙が微かに流れて来ていた、まるで関連性はないというタイミングで鼻をつまんでやり過ごした、二十三時で、週末の夜に彷徨う連中はその夜の奇跡を諦め始めて、虚ろな瞳でキューのタップにチョ
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