窓/いとう
 
「あけみ」という女の子の話。
違うかもしれない。もしかしたら僕の話かもしれない。

あけみが僕のそばにいることに気づいたのは彼女の一周忌の夜
彼女にはとても好きなカクテルがあって
僕は供養のためにそれを作り
机に置いてそのまま寝たのだけど
翌朝目が覚めると
グラスは粉々に砕けていた
もちろんカクテルは空で
濡れた形跡もなかった

ねぇ、あけみ
君はそういう子だった
よく覚えているよ

君もまだ
覚えているんだね


                                   そう
                                覚
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