地下室の明滅/いねむり猫
 
高音の反響は 
悪魔たちを招集する 絶望の神の宴
  生贄の女たちが叫ぶ 歓喜と恐怖の波長

 極低音の響き ゆるんだはらわたをゆするのは
 夜更けの広大な倉庫に集う 怪物たちの排気音

この世からの 遠い 遠い 隔たりの中で 
熱帯雨林の夢に浮かされた 熱病の額にしたたる
水滴の甘さ

 すべてを受け取ろうとする ノイズに穢れた耳は
すでに頭の上 数メートルまで 切り取られて 浮遊する

ここに反響するのは 俺たちの絶望と 鮮烈な血

研ぎ澄まされた感覚ならば もっと激しい破壊の鉄槌が
やせ細った体に 振り降ろされるはず 

それでも 砕けたからだの部品たち
[次のページ]
戻る   Point(2)