明々後日の方向/ホロウ・シカエルボク
ある休日の午後のこと、見覚えのない番号から電話がかかって来て、退屈に任せて出てみたら懐かしい人間からだった、もう二十年近く前かな、同じホームページサービスで知り合った男だった、お互いに詩を書いていて、俺はあくまで書くとはなんだろうというテーマのもとに黙々と書いていたのだけれどそいつはとにかく熱くて、最期の瞬間まで詩人として生きる、とか、頻繁にそんなことを口にするやつだった、ともすれば詩を書いていることよりそんな話をしていることの方が多かったのだ、ひさしぶり、とそいつは時間の経過を感じさせない、昔のままの口調でつぶやいた、本当に久しぶりだな、と俺は驚いて返した、「なにしてた?」なんと言えばいいか
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