Spring Can Really Hang You Up The Most/ホロウ・シカエルボク
さようなら、うつくしい雨が消えていく
冬の破片があちこちできらめく街
ささやかに風の模様が刻まれた傘をたたんで
きみはアーケードの中へ姿をくらませた
九十日垂れ流されたクリスマスキャロルが口をつぐんで
ニューイヤーの装いが忙しなくさしだされる
ひとごみはやれやれと
ただそうしてきたからというだけの理由で年の瀬を執行する
おれはときどきそんな街のなかで
信じるものがあったころを思い返す
いまにして思えばそれは
残り時間が暇潰しに描いている希望のようなものだった
もう、そうさ、おれたちは
これからどんな気をつかうこともない
洗濯もののように横たわって
字幕つきの夢を見続けることだって出来る
凍てつくような週末のはじまり
コートのポケットに突っ込んだ両手は
どんなに握りしめてもあたたかくなることはなかった
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