白書/flygande
心臓が
風船のようにぱんと弾けて
水の線路が胸からまっすぐ
空へとしずかに延びていった
雲梯のようにそれを伝いながら
たぶん ずっと望んでいたように
わたしはさるとして閉経する
ほんとうの幻覚の温度へと
どちらでもいいんだよと首を振る
愛とは 疲れた人のために
明るいベンチを見つけておくこと
そして世界のどこかに
誰も知らない海をかくすこと
スケートリンクの上で
人々は美しい手話になる
あなたは遠くで
あまねく耳を立てている
誰の詩にも
なれなかった放火者よ
腕に抱きしめたその本を
まだ 燃やさないでいて
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