スキヤキオブザデッド/ふるる
 
この時ー恐ろしい予感は当たっていたー
すき焼きなのに肉がない!
先輩は突然ゲラゲラ笑いはじめ、急に真顔になって
「心配ないとも。すべてが上手くいく」と言った
いくもんか…
豆腐だけのすき焼きなんて嫌だ

12月寒空の中、早足で肉を買いにいくと
月に照らされたすべての家のポーチでは藤のブランコが揺れていて
星空を背負った枯れ木はきらきらと震え
青白く浮かぶブランコに座るだけで安心できたのだけれども無視して駆け抜ける

急な場面転換のためには主人公は失神したらいいけど
ホラー小説でなければそんなに簡単に失神はできないだろう
すき焼きの時に失神なんかしてる場合じゃない

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