重力に影響を及ぼすほど空気の成分が違う星/Seia
子供が
空を飛んでいた
いや
飛んでいたというよりは
屋根から滑空していた
大きなカマキリに似た生き物を背中に乗せ
そこから記憶はなく、始まりは窓を開けていた
家庭用プリンタから出てきた
枯れ葉をつまんでは
スケッチブックへ挟んでいく
次々に出てくるかさかさとしたものを
挟むだけのページが足りない
悪寒がして振り返ると、森の入口に立っていた
電球が切れたときにだけ現れる猿は
廊下の壁に張り付いたまま
器用にソケットを回していた
交換後にせがんでくる
果物を切らすことの方が心配で
野菜室を開けると、半分のレモンだけが転がっていた
よくない
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)