重力に影響を及ぼすほど空気の成分が違う星/Seia
 
子供が
空を飛んでいた
いや
飛んでいたというよりは
屋根から滑空していた
大きなカマキリに似た生き物を背中に乗せ

そこから記憶はなく、始まりは窓を開けていた

家庭用プリンタから出てきた
枯れ葉をつまんでは
スケッチブックへ挟んでいく
次々に出てくるかさかさとしたものを
挟むだけのページが足りない

悪寒がして振り返ると、森の入口に立っていた

電球が切れたときにだけ現れる猿は
廊下の壁に張り付いたまま
器用にソケットを回していた
交換後にせがんでくる
果物を切らすことの方が心配で

野菜室を開けると、半分のレモンだけが転がっていた

よくない
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