遭難/ホロウ・シカエルボク
公園の遊歩道の落葉はもう、絶えず踏みしだかれてかたちを無くしかけていた、きみはおれの先を歩く感じで、ただただどこかを目指して歩いているだけだった、木々の装いや、広場での出来事はもう、会話のきっかけになることはなく、ただただ冷たい向かい風が吹きつけているばかりだった、おそらくはそれだけがふたりがいまそこに居るのだという証明になり得るだろう足音も、落葉屑に飲み込まれて心もとなく、遠くのベンチで誰かがつま弾いている懐かしいフォークソングは、もうそれが終わっていることなのだと気遣いの過ぎる友達のように囁きかけているみたいだった、いつのまにこんなに寒くなっていたのだ、おれはコートの襟をきつく合わせて、体
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