あの汽笛が耳から離れない/ふじりゅう
 
零れる優しさの水滴に刺さる
雪風が頬を伝う
最後の嘘を纏った電車の発車音が
膝を殺める
指先が溶けそうな
熱風を吐き出す
初めて素直になれる恋を見つけていた
私と君の
一度きりの絶望の中で

全ての煩わしさに蓋をする
君の臆病な声は
凍えそうな そして倒れそうな
気が狂いそうな静かな部屋に置かれた黒電話から
ん、。なんていう囁きから始まっていた

優しいまつげの揺れる君へ逃げられないから
雪をかぶったオオカミになる
どこかの繁華街で
若草色の吐息が溢れている
君はもう雪を浴びない
どこかで草臥れているだけの生物
零れる優しさの水滴に刺さる
雪風が頬を伝う
最後の嘘を纏った私と君と
私が
初めて素直になれる恋を見つけていた
一度きりの絶望の中で
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