一夜、すぎ/秋葉竹
一夜、すぎ
油の匂いのする聖水の
油膜を
洗い、すすげない、
その匂いにキャンキャン鳴いている
かしこい顔の犬を追いはらい、
泣きそうな君を
バス停までだけどね
見送ったのに、
君の、
うしろ姿はしぐれていった、から
山頭火か、と
見まごうばかりの
寂しさがあったりね、
柔らかな髪が長いのが
復活記念の証しだという、
風の吹く渓谷にある
新しい竜の影絵に向かい、
君はしな垂れ掛かりにゆくの、かね?
電気バスは音を殺して、
よからぬ想いの僕を見棄てて、
スーッと走ってゆくの、かね?
ふて寝して
ふたりっきりの、あの
青空のような時間を
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