あなた/立見春香
せたのなら
ヒトを絶滅させて
トリを栄えさせるのも
神様の思し召しのままに……?
木枯らしが両眼を刺すから
直視できない真実を
鏡の中でも逆さにならない
知りたくもない真実を
銀河の歴史の法則から
逸脱していない真実を
星と月が遠ざかるという
駄法螺話を交えながら知らされる
その夜
暁の明星を待ちながら
夜の汚濁をすみかとする
知り合いたちを避けながら
夜の繁華な街を
それこそこそこそと歩いていたのは
この崩れかけている心を
赦してくれるはずの
あなたの声と
あなた自身をさがして
寒さで化粧を凍らせ
木枯らしに髪を乱され
さながら鬼女の涙をとどめたまま
いまはもういない
あなただけをさがして
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