あなた/立見春香
ある冬の
星と月が遠ざかる
そんな夜の街で
ほんとうの
あなたを探している
木枯らしが吹く
ユーフラテス川の
ほとりからこっち
ヒト科でいつわりなく幸せだったものなど
実はただのひとりもいないのだという
諦めが「ごお」とほおを打つ
コートのポケットに入れた手に
ふとした賭けで手に入れた
大昔の
瓶ビールといえばこれだったころの
キリンビールの王冠を握りこんだまま
そのギザギザの甘美な痛みを
いつまでもここちよく感じながら
永遠なものなど
いないのだと
深夜おびえながら
真実を知ることとなる
恐竜を絶滅させて
ヒトを栄えさせた
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