名もなき詩を書く男の最後/初代ドリンク嬢
 

震える手で書かれたそれは
陰毛のようにくねっていた

男の孫であり、
自称詩人であるところの
男は
ある日それを見つけた
大学ノート何百冊にも及ぶ最後にそれは書かれていた

孫であるところの自称詩人の男は
野心に満ち満ち溢れていた
「なるほどね、
でも、
全くつまらない詩だ
ポエムにもならない
簡単すぎ、
難解すぎる
ただの日記だね」

「全部、うそだね
死ぬ前に食べたのは
食べたのじゃなくて呑んだのだけど
酒だよ」

そのまま大学ノートはみかん箱に入れられて
押入れの奥の方へ





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