妙に冷めた口をきくやつらばかりだ/ホロウ・シカエルボク
 

首長流の頸椎の隙間から零れ落ちたアナコンダが、寝床でのた打ち回る俺を飲み込もうと目を黄色くしている、集中しているやつの口から小さな呼吸音が漏れているのが聞こえる、最期の瞬間に人は何を思うのだろうと常日頃考えていたが、そのとき頭に飛来したものは取り立てて語るほどの価値もないような当り前の内容だった、だから俺は黙って横になっていた、蛇のやつから見ればただ眠っているだけに見えたかもしれない、その気になればいつでも口を大きく開けて俺を飲み込むことが出来るはずなのに、どういうわけかそいつは俺の足元でじっとしていた、呼吸の質が変わった、と俺は感じた、それはもう生きるために獲物を狙う生きものの本能的な呼吸で
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