青の方角/ミナト 螢
 
自転車置き場に届く光が
まだ短くて生まれたばかりで

跳ねた髪の毛を撫でる時だけ
僕の顔を見つめるように

寝返りを打ったその体は
宙に浮くほど細かい指先で

カゴの中を編んでいるけれど
夜が蓋を落としていくから
その前に連れて行かなくちゃ

押していた自転車を走らせる頃
眠る光はどこで折れたのか

青い風と平行になるまで
気づかなかった街の賑わいも

ひとりで背負ったリュックの裏に
ふたりで出した熱を隠してる

僕達の道が少し長くて
君に手を振ることができなかった
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