冬のプラネタリウムを想う/秋葉竹
 

寒ければ
プラネタリウムがある

星座が喧しい
水鳥が鳴いているのか
かきむしられる尖った声が聴こえる

寒ければ
空を飛ばなくていい

見下ろすと小さな橙の灯り
死の象徴としてのともしびか

魚が魚を信じているのだから
神殿から神殿へと泳ぐ影が見える

それは黒い絶望に追われているのか
かなしみを幸福の色に変える呪術を求め

死んだからわからなかったけれど
魚たちは星座の名前が欲しいらしい

寒ければ
プラネタリウムも震えるかな

寒いけれど
プラネタリウムの星座の

まだ知られていない名前を
くれてやっても
よい と
想う






戻る   Point(5)