足掻き/
ミナト 螢
あとがきのような
夕方に残す
手紙の最後を
迷っているから
インクの匂いが
蜜柑と混ざり
便箋の端を
濡らしてしまう
瞳の色だ
嘘も言い訳も
全て包んで
濁りを煮立てて
円を崩した
私の影が
落ちる台所に
帰ってくるのは
猫だけなのかな
穴の開いた靴下を
縫うたびに
小さな爪が
引っ掻いて回す
閉じ込めるつもりの
部屋だったのに
出口を作った
あなたの心に
誰も通らない
近道がある
蜘蛛の巣みたいに
好きに歩いて
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