ライ麦畑/Tシャツ
 
こからどこまでがインチキなのか、僕にははっきりわからない。朝起きて、整髪量を髪に塗りたくる。化粧品を顔に塗りたくる。掃き心地の悪い革靴を履く。満員の電車に乗って知らん振り。笑いたくないのに笑う。楽しくないのに楽しむ。疲れたのに疲れてない。僕はとてもわがままだろう。我慢しなきゃいけないんだろうけど。
僕がインチキだとして、子供がインチキでないとして。幼くしてなくなっていく子供たちにはとても申し訳ないと思う。僕のようなインチキが生きながらえている。でも、僕は心では申し訳なく思っているけど、その子の代わりに死ねるかどうかと言われれば、きっと僕は死にたくないと思う。世界中で亡くなっていく、かわいそうな人
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