なにが良いやら悪いやら 【都々逸】/ただのみきや
たが 財布の中より暖かい
朝に降り出す冷たい霙 妻の小言になぞらえる
湿った朝に火を点けるのは 言葉じゃなくて音楽よ
時代違えて生きるも死ぬも ないものねだり自分の詩
ゴミの収集お仲間乗せて わたしゃ置き去り無分別
美人ばかりと聞いて来たけど マスクツケマの人ばかり
美人転んで目鼻を落とす どう並べても福笑い
街をさまよう痩せた狐は 化かし疲れたホステスか
つなぐ相手の手が冷たけりゃ きっとむこうは心地よい
名前忘れて顔も忘れて いっそ無かったことにしよう
愚可愛（おろかわい）くて愚悲（おろかな）しいと 書いた自分の馬悲（ばかな）しさ
割り切れないと解っていても いつまで残るおれの核
《なにが良いやら悪いやら：2019年11月30日》
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