裸のマリー/千月 話子
牧場は、今日も晴れるや。
山の向こうまで続く青空に
ポツリ、ポツリ 綿雲
良く乾いた干草が ホロホロと
風に浮かびそうな具合で
何となく 美味しそうだと思うのは
雑食動物の脳内変換 ゆえ
「食いしん坊、バンザイ。」と
口の端で笑い 青臭い匂いを嗅ぎながら
味わう 至極素敵なお食事をした
朝 10時ごろ
生暖かな 牛舎では
光り輝く黒毛和牛「与太郎号」が
本生なビールを グビグビとやっていたりする
つまみは カリカリの穀物か?
別棟で ひしめく夏の乳牛が
乳を搾られ 草を食み
乳を搾られ 草を食う
甘く乳臭い充満 ああ、マザー。
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