ユニットバスで肩まで浸かろうとする。/カンチェルスキス
朝
おれはパンを食べながら新聞を逃がしてやろうと思う
寒いというほどでもない朝だ
黄色のニット帽の老人が
今朝も部屋の前を通り過ぎた
畳屋の隠居だがもう畳屋は開いてない
顔見知りでもない
彼は野菜スープに夢中だ
味噌汁にはまったく興味を示さない
おれは立って眠る人を見たことがある
地下鉄の手すりにしがみついて
夢を
見ていた
夢の内容までわかってしまったのは
「 」
というわけだからだ
パンは四つ切トーストでカロリー控えめのマ
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