或る散歩/もっぷ
 

アテは無い

行く手には濃霧

今にも降り出しそうな中を

「前に」向かって歩く

昨日も同じだった

「今日」も既に半ば 同じことの繰り返し

明日もきっとそうだろう

アテは無い

天に月も星も太陽も見当たらない

足がひとりでに「前に」進むのである

知っている道ではない

それでも進むのである

靴の紐は確かで

ポッケにはチョコレート

肩から提げているのは

三途の川の水が入った水筒

掌にしっかりと一文銭六つ握りしめ

歩く 果てが見えない

それでも歩く

果てはある

それでも歩く

そう 果てに向かって

見えない果てに向かって

数え切れない 通りがかりの出来事と

そして邂逅と ・・・

それらを脳裏で整理しながら







いつかきちんと それらが纏まった時に

その散歩は終わる――



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