空中遊泳/ミナト 螢
つま先で立つと地面が揺れて
あらゆる命が追い越してゆく
足音や虫の音が触れる場所で
上を向いたら広い空の端に
糸口があって傷を縫えるまで
花が咲いてると訊いてみたくなる
お願いだから棘(針)をくれないか
レースのカーテンの編み目のように
光を連れて痛みを散らせば
雲はたくさんの傷跡を隠し
雨は汚れた糸を洗うんだ
見えるかいこんな優しい世界に
音符が届くたびに思うのは
踵を下ろすなら今しかなくて
風の支えに甘えられるような
僕が愛した人の声だった
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