路地で立ち止まっていたナミ/ホロウ・シカエルボク
 
を履いていた
どういった理由があるのかは見当もつかないがそのすべては
火で長く炙られたかのように煤けていた
なにかを待っているのか、それともすべてを見失ったのか
日が暮れるころにそいつはどこかから現れて
明方近くになるとどこかへ帰って行った
一度、仕事の都合で夜が明けてからそこを通ったとき
その場所に踏みしだかれた糞尿の跡があり
生きているのだと驚いたことがあった
俺は窓辺に巣を張る蜘蛛を眺めるように
時々その路地を歩いては女とすれ違った
女は時々俺が近付くとそれまでしていたことを止めて
俺が通り過ぎるまでじっとしているのだ、一時停止をかけられたみたいに
だから俺はあまり
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