エントロピーと鳥が鳴く 【都々逸】/ただのみきや
 



親子で走る二人三脚 なんだか凄いペアがいる


白く濁った天の向こうに 目と目は合わず耳と耳


呼ぶ声聞いた訳でもないが 振り向く素振り猫に似て


積もり積もったおもい雪でも 根とは残らず吐息だけ


風がゆるめば雪はゆっくり 生にも死にも似て降りる


堕落も然り受容の一つ 気楽に往こう死への旅


揚げ足取りで浮かれて踊る よもやもうける鉦叩(かねたた)き


かわいい女は架空の話 馬鹿な男が作り出す


馬鹿な男に合わせる女 嘘も真も性(さが)のうち


きれいなままで嫌いと言って ずっと後悔させてくれ




             《エントロピーと鳥が鳴く:2019年11月16日》






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