行き場の無い手紙/卯月とわ子
 
いままわたしはここに立っています。
わたしが思い出す貴方はいつも笑顔でした。
今、貴方の事を思う時も貴方は笑っています。
曇りのない笑顔がわたしを余計に悲しませるのです。
貴方を忘れる事は無いでしょう。
心の陰りが徐々に晴れても、貴方はわたしの中で生きています。
輝かしい舞台に立っていた貴方をわたしは忘れません。

届く事の無い手紙をここに残しておきます。
きっと多くの人たちが貴方へ手紙を書いたでしょう。言葉を紡いだでしょう。
わたしもその中の一人です。
名前を持たない一人です。
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