無数の血膨れの夜/ホロウ・シカエルボク
 
ものはなんだと…いまお前の足元に転がっているそいつはいったい誰なんだと…それは俺の足元にうつぶせに倒れている、ひっくり返せ、と問を発する誰かが言う、その要求は拡散し、反響して、群衆の怒声のようなものに変わる、俺はそれがまるで使命であるかのように錯覚してしまう、心の中ではすでに理解しているその正体を確かめんと、血塗れの左肩に手をかけ、蓋を開けるみたいに裏返す、すでに硬直が始まっている、それは…


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