朝食の時間/
卯月とわ子
かぶりつく真っ赤な果実
噛みついた真っ赤な嘘
美味しくなかった思い出は
まだ舌の上
わたしの影を踏んで笑っていた君は
今どこに居るのだろう
咀嚼しながら考える
どこかであの日と同じように笑っているのなら
それで構わない気がしてきた
もうわたしと君は他人だから
それでいいのだろう
ストンと落ち着いた思考が
ようやく空腹をわたしに知らせた
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