いつでも ぼく 店に出ていますから/もっぷ
 
――隣のベッドの人が「移った」

あの部屋に あの ・・・



そうして二度とは戻っては来なかった笑顔

無理して作っていたあの懐っこさ

苦しい 痛い 怖い に耐えて

無理して 合わせていた 大部屋の

雰囲気に なるべく なるべく

あの人にも この人にも 笑顔を ・・・と



わたし 知ってしまったんです

わたし 聴いてしまったんです

わたし 見てはいないけれど

わたし よくわかっています



――隣のベッドの人が「移った」

あの部屋に あの ・・・



そうして二度とは聴けなくなったあの弱々しい声

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