狼狽える詩人どもに/ホロウ・シカエルボク
い、それが俺がこの人生で学んだもっとも大きなことだ、一〇〇年あるかないか、それだけの時間だぜ、同じ色だけで塗り潰すなんて俺には出来ないよ―たったひとつ見つけることだ、たったひとつ見つけることだよ、なにか新しいものを手に入れたら、古びて要らなくなったものは自然に零れ落ちていく―人生の命題など持たぬことだ、フリー・チケットさ―その時に決めた行先だけが本当に行くべき場所だ、彷徨え、彷徨えよ、狼狽えたる詩人ども、小競り合いをしている間にも時間は流れてゆく、下らない連中は放っておくことさ…そうしていつかいまよりもほんの少し居心地のいい場所を手に入れたら、程よく晴れた朝に一緒に珈琲でも飲もうじゃないか…
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