売人/
ミナト 螢
ボールペンの芯から
生まれた僕は
太った人の筆圧に潰され
インクが滲む
それ、僕の涙ですよ
修正液で白くなる前に
誰か高く買いませんか
黒い涙なんて真珠のようで
綺麗に光るネックレスにして
街を歩けば皆が
見つめてしまいます
古い日記の鍵穴をこじ開け
あなたのへそくり数えてみたら
僕の持ち主が書く卑猥な言葉より
美しい愛の言葉が並んで
思わずおしっこ
漏らしちゃったけど
それ、僕の涙ですよ
戻る
編
削
Point
(1)