口元の汚れた八方詩人のしわがれたバラッド/ホロウ・シカエルボク
つでももっともらしく喋れるテンプレートに過ぎないさ、俺にはそんなもの聞く必要はない、俺が欲しいのは、俺自身が生きるべき人生を確かに生きたという証さ、それ以外のものはなにも必要としていない、それ以外の事柄はみんな、北風に煽られて足元を転がっていくぼろぼろの落葉みたいなものだ―俺はいつだって自分自身の奥底にあるものを知ろうとしている、深層意識下の、おそらくは見るもおぞましい階層の下に隠れている何か、それはまだ言葉に出来たことがない、こういうものだとはっきりと悟ることが出来たこともない、ただひとつだけはっきりと言えることは、それこそがこの俺をいままで生かしてきた、それこそがこの俺をこの世界に立たせている
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