俊足アリスと簡単な難問/卯月とわ子
跳ねた足音が聞こえる
あの子が走っているんだ
自分の背丈以上に伸びた草っぱらを
毎日同じ時間
雑草だらけの道とも呼べない道は
いつの間にか踏み慣らされて
立派な道になっていた
その道をたどっていく先には
あの子が居るんだろう
まだまだ足りないと
走り続けるあの子が
何も無い場所に道を作るのがあの子の才能で
その後に続く者たちを受け入れるのがわたしの役目
二番煎じとか言っちゃいけないよ
もっと大切にしなきゃいけないものなんだから
俊足のあの子に追いつく者は現れるんだろうか?
いつかあの子が老いた時に懐かしむ者は居るのだろうけれど
今のあの子より速く走る者は出てくるだろうか?
いつもいつもわたしは考えながら同じ答えを出す
歴史は繰り返される
歴史は塗り替えられる
いつかあの子が過去になる時にはわたしは居ないだろうけれど
その未来に立ち会わなくても答えは分かってる
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